彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「黒羽先生……」
「久しぶりだな」
彼の事務所でパラリーガルのインターンをさせてもらったのが二年前だ。厳しい先生で私はどれだけダメだしをされたかわからない。それでも、三峰先生からの紹介だったので歯を食いしばって耐えた。
「水世、お前まさか野田事務所へ入るつもりだったのか?」
「いえ、そのつもりはありませんでした。やりたいことができないし、おそらくこうなると思っていたんです」
「先ほどの息子さんは君の交際相手?」
「いいえ、ゼミの同級生なんです」
「ふーん……しかし、あの物言いは親子そろって褒められたものじゃないな。水世、よく耐えたな」
厳しかった先生が私をなぐさめてくれていた。私は涙が出そうになった。先生は私の背中をそっと押して外へ出ようと言ってくれた。ふたりでロビーの椅子に掛けた。
「水世、就職先を探しているのか?」
「先生から就職先を探すよう命令されてしまいました。実質クビです」
「久しぶりだな」
彼の事務所でパラリーガルのインターンをさせてもらったのが二年前だ。厳しい先生で私はどれだけダメだしをされたかわからない。それでも、三峰先生からの紹介だったので歯を食いしばって耐えた。
「水世、お前まさか野田事務所へ入るつもりだったのか?」
「いえ、そのつもりはありませんでした。やりたいことができないし、おそらくこうなると思っていたんです」
「先ほどの息子さんは君の交際相手?」
「いいえ、ゼミの同級生なんです」
「ふーん……しかし、あの物言いは親子そろって褒められたものじゃないな。水世、よく耐えたな」
厳しかった先生が私をなぐさめてくれていた。私は涙が出そうになった。先生は私の背中をそっと押して外へ出ようと言ってくれた。ふたりでロビーの椅子に掛けた。
「水世、就職先を探しているのか?」
「先生から就職先を探すよう命令されてしまいました。実質クビです」