彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「少し調子に乗ってませんか?」
「おにぎりは美味しかったからな。料理が得意なんだろ?期待してるぞ、婚約者」
私がむっとしたのを見ながら腰に手を当てて笑ってる。
意地悪な微笑みもイケメンはカッコよく見えるから罪深い。
「先生、食べたら顔色良くなりましたね。イケメンが二倍増しになりました。また、モテそうですね」
先生は真面目な顔をして、ソファに腰かけると私にも対面に座るよう促した。
「なんですか?」
「この間も言ったが、正式に僕と結婚しよう」
「先生……」
「結婚して君の水世から黒羽にする。そうするだけで色々抑止できる」
私は呆気に取られて先生の顔を見た。
「せ、先生。そんなことのために、先生の戸籍を汚すようなマネはできません。今だって婚約者と偽ってるだけで十分です」
「この結婚は君のだめだけじゃない。僕にもメリットがあるから提案している。来月のアメリカ出張……実は父の懇意にしているアメリカの投資顧問会社の社長から縁談をもらっていてね。社長のお嬢さんなんだが、小さい頃から幼馴染で知っているんだ。非常にこれがやっかいなんだ」
「まさかそんなことのために結婚?」
「そんなこととはなんだ!僕にとっては大変な問題なんだ」