先生の金魚
それから、
市の公会堂ホールでの入学式に参列した。

一学年に十一クラスもある学園だから
主役の入学生達の他に来賓や保護者を加えたら
学園の体育館では収まりきれないらしい。

保護者が参列したからって
こんなにも生徒が溢れていたら
我が子がどれかなんて見つけきれないと思うけれど。

式中もメグは上の空だった。

教師達が並ぶ列にだけ視線をロックオンして
遠目からせんせーの姿を眺めていた。

一年生の担任、副担任、教科を受け持つ先生達の紹介と挨拶が進んでいく。
せんせーの順番になった時。
まるで自分の恋人をお披露目されているみたいな心地だった。

背中がむず痒くて
口角が上がってしまう。

隣のクラスの女子達が
「八組いいなー。イケメンじゃん」なんて言い合っている。

隣の七組の担任は確か、
ゆるめに巻いたロングヘアーがよく似合う
きれいな女性だった。

細めのパンツスーツが
体の華奢さを際立たせていた。

隣のクラスだし
うちのせんせーと鉢合わせることも多いかも。

ちょっとやだなって思ったけれど
そもそも教師には職員室っていう巣がある。

あー、嫌だな。
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