先生の金魚
入学式が終わって
生徒達はバラバラと歩いて
学園まで戻る。

公会堂ホールと学園は
徒歩で十分も離れていない。

卒業式でも使われるし、
授業の一環として
演劇を観に来たりもするんだって。

一緒に歩きながら
中学の同級生が「やっぱり廻ちゃんがダントツでカワイイね」なんて言ってくる。

「そんなことないよ」って笑うけれど
本当はそんなことあるんだって
さすがにもう分かってる。

メグが努力したわけじゃない。
ただの遺伝子だ。

メグがこの容姿っていうことは
自分達の遺伝子が優秀だってことを
メグを見るたびに嫌でも自覚していたと思う。

ママもパパも
さぞ鼻が高かったことだろう。

ママもパパも二人とも
もう死んだ。
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