先生の金魚
「えっと…」

紅さんがメグの胸元をチラッと見た。

襟を直したら
紅さんは「ありがと」って小さく呟いて
メグは席に座り直して、
「めぐり」って言った。

「めぐり。時枝(ときえだ)(めぐり)だよ」

「可愛い名前。めぐりって…」

「回転寿司の回に、こういう…しんにょうの点が無いみたいな」

指で空中に書く。

紅さんはメグが今朝したみたいに
教室の後ろに張り出された名前達を目で追って
「あぁ」って言った。

「ふ…ふふっ…回転寿司って」

「お寿司、大好きだから」

「いいね。私も」

「じゃあ今度一緒に行こうよ。紅さん」

「いいの?ていうか名前…」

「名札。見てたしメグもさっきそこで確認したんだ」

名前達を指差して告げる。
紅さんは納得したみたいに頷いた。
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