先生の金魚
「小夜子でいいよ」

「んー、じゃあサヨちゃんね」

「サヨちゃん?可愛い。じゃあメグちゃんって呼んでもいい?」

「もちろん。よろしくね」

「うんっ!ねぇ、メグちゃん」

「なぁに?」

「目、うすい茶色でいいね」

「あー。時々言われるよ。髪の毛も、ほんとはサヨちゃんみたいな黒髪に憧れるんだけど」

「ううん。すごくきれい。外国のお人形さんみたい」

「そうかなぁ。ありがと」

「メグちゃんはクラスに中学からの子、居る?」

「うん。あの子とか」

指で示した同級生は
近くの席の子と楽しそうに喋っている。

あの子はカワイイ物好きだ。
ハンターって言ってもいい。
今喋っているクラスメイトも
小動物みたいに可愛らしい子だった。

「いいね。私は一人なんだ」

「そっかぁ。それは不安だったね?明日から一緒に居ようよ」

「いいの?」

「うん。友達だから」

「友達…うれしい」

「大袈裟だなぁ」

「ううん。メグちゃんみたいな可愛い子と初日からお友達になれるなんて思ってなかった」

「ほんとに、大袈裟だよ」

ガラッて音を立てながら
教室の引き戸が開けられた。

せんせーが入ってくる。
メグの世界はまた
せんせー以外の時間を止めた。
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