先生の金魚
そう、本気で思っていた。

せんせー、
あなたに出逢うまでは。

メグはね?
せんせーに出逢った瞬間に
神様、おんなじ人間として産まれさせてくれてありがとうって
心の底から感謝したんだよ。

人間である特権は
せんせーと恋ができるってこと。

夏のことはもっと嫌悪した。
せんせーの為にどれだけ頑張ったって
夏ってだけでカワイイが半減しちゃうんだもん。

メグね、本当はもっと可愛いんだよ。
ほんとだよ。

平等に与えられた死の権利なんかいらない。
放棄できるのなら、
せんせーの分もまとめてグシャグシャに丸めて棄ててやる。

死は、価値の無い者にだけ降り注げばいい。
制裁として。

平等に与えられた権利なんか要らないから
メグは制裁を下す権利が欲しい。

あいつの影をこの世から消してしまえる権利を。

メグだけが生涯愛される唯一の方法を。

殺してやる。

殺してやる。

水中を優雅に揺蕩う、
美しい魚の尾鰭を引き千切る。

くりん、って引っ繰り返ったまま死にゆく様を
メグはただ見下ろしていたい。

呼吸が奪われていく様を。

救いなんかない、
絶望に歪む表情を。

メグはなんにも悪くない。

お前しか悪くない。

絶対に。
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