先生の金魚
「ほら。お前らも、もう帰りなさーい!入学早々、仲がいいのは結構だけど、先生はこの後もお仕事がありまーす!」

「うーっわ!ナツキ先生シビアー!」

「子どもとは違うんです」

赤面直後に
気持ちは急降下…。

子ども。
そうだよね。

せんせー…………は、
何歳なんだろう?

でも働いてるし、
せんせーだから、十歳は年上かもしれない。

そりゃそうだよね。
メグ達なんか子どもだよね。

四月中に十六歳になるクラスメイトが居るかもしれないけれど
メグは八月生まれだから
まだまだ十五歳のまま。

早く一歳でもいいから
せんせーに近づきたい。

おんなじ目線で、
おんなじ世界が見たいよ。

せんせーに促されて
群がっていた子達が帰宅した。

メグもいい加減帰らなきゃ。
初日からせんせーに迷惑かけたくないもん。

机のサイドに掛けていた鞄を持って、
椅子を押しながら立ち上がった時だった。

「一人で何してたの?」

「え?」
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