先生の金魚
「メグは教えたのにずるいよ」

「んー。だって…」

「だって?」

「誰か、までは聞いてないし!」

「誰か言ったらサヨちゃんも教えてくれるの?」

揶揄(からか)ってるとかじゃなくて本当に言ってくれるなら」

「当たり前じゃん」

「なんでそんなに知りたがるの?私の好きな人」

「あ、その言い方。やっぱりいるんだ?」

「それはっ…そうだけど…」

「友達だもん。サヨちゃんのこと知りたいって思うのって変?」

「変じゃないけど…私もメグちゃんと友達でいたいもん」

「どういうこと?」

チェリーに似てる色のリップは
やっぱりサヨちゃんの白い肌によく似合っていた。

メグよりも、きっと。

「メグちゃん、私の席になりたかったって言ったじゃない?」

「うん」

「それって…教卓の近くに居ることが多いのってやっぱり先生達かなって」

「それが?」

「私達、まだ授業はさっきの数学しか受けてないし。あとはほら、ナ…………由良先生だけだから」

「それって」

「メグちゃんの好きな人って、由良先生なのかなって…」
< 37 / 96 >

この作品をシェア

pagetop