先生の金魚
「もしそうだとしたらサヨちゃんとは友達でいられなくなるの?」

「だってその…」

「サヨちゃんも、せんせーが好きってこと?」

「それは…」

「ちゃんと言って?」

「…………」

「友達でしょ?」

サヨちゃんがくちびるをキュッて閉じた。
リップを塗る習慣がないからか
塗りたての赤いくちびるに、
意識を注げていない行動だった。

くちびるから艶がちょっと消えた。

「ごめんなさい…」

「なんで謝るの?」

「メグちゃんとおんなじ人が好きだなんて分不相応だよね」

「なんで?」

「厚かましいよね。メグちゃんに敵うわけないのに」

「誰だったらいいの?」

「え?」

「誰だったら、自分が好きになっても許されると思うの?そんなのメグにもサヨちゃんにも決められることじゃないし失礼だよ。それにメグに好かれたいかサヨちゃんに好かれたいか決めるのもメグ達じゃないよ」

「そ…………だよね…私ってば最低だ」

「怒ってるんじゃないよ?メグに遠慮して隠そうとするのはおかしいってだけ!なんだ、そっかー。サヨちゃんと被っちゃうなんて、メグ達ほんと気が合うのかもね?」

「そう思ってくれるの?」

「うん。だってねメグ、初恋なんだ」

「え?」
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