先生の金魚
「さっきも言ったでしょ?自分から好きになったの、せんせーが初めてなの。だからさ。サヨちゃんのこと大好きだけど、遠慮はしてあげられないかも」

「うん、そんなの要らないよ」

そんなの要らない?

あんなにオドオドしていたサヨちゃんが
急に強気になって
メグは不審に思った。

弱い女の子のふりをして。
演技だったのかなって思っちゃった。

「案外余裕なんだね」

「ちがっ…そうじゃなくて!こうやって教えてくれたことがうれしくて…嫌な気持ちにさせちゃったならごめんなさい」

「ううん」

「変だけど、メグちゃんの大切な初恋、応援させてほしいなって…」

「うん…」

″させてほしい″なんて、
恋愛の大先輩みたいだね。

あー、卑屈なメグ。
可愛くない。

「ねぇ、サヨちゃん」

「うん?」

「今日って暇?」

「放課後?用事はないよ」

「サヨちゃんのおうち、遊びに行っちゃダメ?」

「えっ?大丈夫だけど」

「ほんとっ?サヨちゃんともっとお喋りしたいから」

「分かった。母にも言っておくね」

「やったぁ。じゃあ約束ね」
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