先生の金魚
「大変だね。人間って」

「ふふ。急に話が壮大になっちゃった」

「分かった。一緒に行こ」

「あ、でもメグちゃんも人気者だから…。いっぱいお誘いが来たらそっちに行ってね?」

「なんで?サヨちゃんと約束するのにそんなことしないよ。そうだ、もしチャンスがあったらさ、やっぱりせんせーも誘おうよ。お外じゃなきゃ平気でしょ?おうちで三人で夏祭りしようよ!サヨちゃんのおうちの庭なら花火もできるでしょ?」

「…そうだね!私からもナツくんに訊いてみる!メグちゃん、ありがとう」

うれしそうな顔しないでよ。
メグはずっと、メグの為だけに言ってるのに。

サヨちゃんの幸せなんて願ってない。
全部自分だけの為だよ。

ねぇ、サヨちゃん。
忘れちゃったの?
メグもせんせーのことが
大好きなんだよ?

「じゃあメグもう帰るね」

「送っていこうか?だいぶ暗くなっちゃったし」

窓の外を見たら
いつの間にか外が暗くなっている。

オレンジ色がこっちまでやってきたことにも気づかないうちに
黒がやってきた。

「大丈夫だよ。サヨちゃんだって帰り危ないし」

「電車だよね?ごめんね。遅くまで引き留めちゃって」

「まだ七時になったばっかりじゃん。全然普通だよ」

「ねぇ、今度はメグちゃんのおうちにも遊びに行きたいな」

「ダメだよっ!!!」
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