先生の金魚
「先生っ!?どうされました!?」

職員室にいた他の教師も生徒も
一斉にこっちを見た。

教頭先生や、
一年生の学年主任が駆け寄ってくる。

せんせーの頭の中からも
すっかりサヨちゃんのことが吹き飛んだみたいに
呆然として美人教師を見つめている。

「こっ…コレ……なんっ…金魚…………」

「金魚……?」

学年主任が誰か、先生のデスクからティッシュを取って
ぽとん、と落ちた金魚を拾った。

「死んでる…」

「カップに…珈琲にッ!!!」

「混入してたってことですか!?これはご自身で淹れられたんですか?」

「えぇ…でもその時には絶対にこんな物…気づかないはずがない!」

「それはそうでしょう…。では誰かが混入させた、と?」

教頭がまるで探偵みたいに眼鏡の縁を光らせて
ぐるっと職員室内を見渡した。

美人教師だけが
しっかりとメグを凝視している。

まぁ、そうだと思う。

一番近くに居たのはメグで、
美人教師が戻ってきた時、
せんせーは職員室を出ようとしていて
デスクからは離れていた。

どう考えても
メグ以外の犯人は居ない。
< 70 / 96 >

この作品をシェア

pagetop