霧の向こうの青い鳥

揺れる心

それから一ヶ月が過ぎ、優子は少しずつシェアハウスの生活に慣れてきていた。


健太郎の度を越した接近にも、うまく距離を保てるようになった。そんな中、尚子との関係はますます深まっていった。



ある雨の日の朝、優子が共用リビングに向かうと、そこには珍しく尚子の姿がなかった。



「おはよう、優子」健太郎が新聞から顔を上げて声をかけた。

「おはよう、健太郎」優子は少し警戒しながら答えた。「尚子さん、まだ起きてないのかな?」

「ああ、昨日から風邪で寝込んでるらしいぞ」健太郎は無関心そうに言った。


優子は心配になり、尚子の部屋に向かった。ノックをすると、かすれた声で「どうぞ」という返事が聞こえた。
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