霧の向こうの青い鳥
部屋に入ると、ベッドで横になっている尚子の姿があった。普段の艶やかさはなく、少し荒い呼吸を繰り返している。



「尚子さん、大丈夫?」優子は尚子のベッドサイドに駆け寄った。




「ありがとう、優子さん」尚子は微笑もうとしたが、すぐに咳き込んだ。




その声は、普段よりも低く、力強く聞こえた。優子は驚いた。まるで、別人のような...いや、男性のような声だった。



「熱がありそう」優子は尚子の額に手を当てた。「お粥を作ってくるわ」



「すみません、迷惑をかけて...」尚子は申し訳なさそうに言った。
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