キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 あやくんがそう言って手を伸ばそうとするので、思わず顔を背けてしまった。


「だ、だめ……!」

「なんで? 仮面したままだと鍵盤見えづらくて弾きにくくない?」

「っ、そうだけど……」


 だって、今すごく変な顔してるもん。

 多分顔赤いし、見られたら恥ずかしい。


「……」

「!? あやくんっ!?」


 シュル、と仮面の後ろの紐がほどける音がして、気づいた時には床にカコーンと仮面を落としてしまった。
 慌てて拾い上げ、もう一度仮面を付けようとするとあやくんに止められてしまう。


「なんでまた付けようとするの?」

「だって……」

「こっち向いて」

「~~っ」


 恐る恐るあやくんの方に向き直る。

 改めてタキシード姿に黒髪のあやくん、破壊力すごすぎる……!
 カッコいいなんてものじゃないよ!

 もちろん普段のピンク髪でもカッコよくて好きだけど……。


「……かわいい」


 あやくんは優しく、慈しむような手で私の頬を撫でた。
 くすぐったくて、ドキドキする。


「こんなにかわいいカッコして、他の男と踊ろうとしてたんだ?」

「だって、約束してたから……」


 結局破ることになっちゃったけど。


「ふーん、約束……なんで俺のとこ来たの?」

「っ……」


 じ、と私の方を見つめるあやくん。
 まるで逃がさないとばかりに視線がとらえて離さない。


「……き、だから」


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