キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 結局マスカレードは二人だけで抜け出してダンスには参加しなかった。
 つづにとっては最初で最後のマスカレードだし参加したかったのかと思ったけど、ぎゅっと俺に抱きついて甘えてくる。


「ううん、もっとこうしてたい」


 ああ、もう。かわいすぎる。
 わざとやってんのかってくらいかわいい。

 結局ダンスもピアノも弾かず、ただくっついてイチャイチャしていただけだった。
 時折つづは「誰かに見られない?」と心配してたけど、誰も来るわけがない。

 みんなダンスに夢中だし、そもそもこんなつづを他のやつらに見せるわけがない。

 実際見せられるようなカッコじゃなかったので、俺のジャケットを羽織らせてそのまま帰宅した。

 で、今日は日曜日というわけ。


「そういえば、今日実家に帰ろうと思うんだけど」

「実家に?」

「別に大した用事はないけど、母さんがたまには顔見せろって」


 今日義父は仕事でいないそうなので、だったらいいかと思ってたまには帰ることにした。


「そっか、いってらっしゃい!」

「……つづも来る?」

「えっ」

「父親はいないけど、母親と弟たちならいる」

「弟くんたち……!」


 途端につづは瞳を輝かせる。
 前にも会ってみたいって言ってたもんな。


「私が行ってもご迷惑じゃない?」

「大丈夫でしょ。母さんは驚くかもしれないけど」

「だったら行きたいな……!」

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