キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 母さんは信じられないと言わんばかりに震えていた。


「綺世、綴さんに手出してないでしょうね?」

「……まあ」


 キスはしてるけど。


「旦那さまはこのこと知ってるの? お、奥さまは?」

「つづの母親はいない。離婚したらしい」

「そ、そうなの……」


 それを聞くとちょっとだけ安心したような表情になった。
 母さんはつづの母親に相当いびられてたみたいだからな……。

 つづは知らないけど、裏で俺とつづを遊ばせるなって散々母さんのこと詰めてた。


「つづのお父さんが良くなったらちゃんと話す。許しをもらって将来はつづと結婚する」

「綺世!? 何を言ってるの!?」

「俺はずっと決めてたから。母さんなら知ってるだろ」

「綺世……」

「母さんだって玖央さんと再婚したんだ。何も問題ないだろ」

「…………」


 それを言うと母さんはグッと口をつぐみ、黙り込んだ。

 母さんの気持ちが複雑なのもわからなくはない。
 元々雇われていた家の娘と俺が一緒になって、多少なり思うことがあるのかもしれない。

 だけど、誰に何を言われてもつづと離れる気はない。
 やっと手に入ったんだから。


「……わかった」


 母さんは目を伏せてうなずいた。


「私が口を挟むことじゃないわね。でも綺世、綴さんのことちゃんと大事にしなさい。大切なお嬢様をお預かりしてるんだから」

「わかってるよ」

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