キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
「本当ですか? 嬉しいです」
「自分で家事をするようになって、すごく大変だなって思いました。あの頃私たち家族が快適に過ごせていたのは、あやくんのお母さんのおかげだったんですよね。ありがとうございました」
丁寧にお辞儀するつづに、母さんはかなり驚いていたし戸惑ってもいた。
「そんな……! それが私の仕事でしたから」
「それがすごいんです! お料理のレシピとか教えてほしいです!」
「……私でよければ」
「ありがとうございます!」
つづのこういうところが好きだなと思う。
相手のすごいところを無意識に見つけて、それを素直に口にできるところ。
簡単なようでなかなかできない。
何より家柄至上主義の糸奈学園で家政婦の仕事をすごいと思える人物なんて、つづしかいないんじゃないか?
俺ももっと頑張らないと。
「瑠維くんも瑠紀くんも寝ちゃったね〜」
「ケーキでお腹が膨れたんだろうね」
「ふふっ、かわいいなぁ」
双子は寝たし、次は俺がつづを構う番。
「つづ、こっち」
「?」
「二人きりになりたい」
「……っ」
「顔赤いけど、何想像したの?」
「ちがっ! お、お母さんいるのにっ」
「大丈夫、俺の部屋一番奥だから」
こんなにも部屋が遠くてよかったと思ったことはない。