キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 それでも変わらずに接してくれる結川くんは、本当に優しい。
 結局私は結川くんに何一つ返せなかったな……。


「つづりーん!」

「あ、紗良ちゃんおはよう」

「おはりん。進路希望調査出した〜?」

「あ、えっと……実はまだ」

「えっガチ? つづりんなら真っ先に出してると思ってた」

「ちょっと悩んでて」


 普通は糸奈学園の大学部か外部の大学、はたまた留学といったパターンが主な進路の選択肢となる。
 紗良ちゃんは美容専門学校に行くと言っていた。

 だけど私は大学に行く余裕がないため、就職しようと思っている。
 高等部に通わせてもらってるのも私のわがままだし、卒業したらお父さんの力になれるようにって。

 でも、今すごく悩んでる。


「どこかでちゃんとお父さんに話さないといけないんだよな……元気かな、お父さん」


 そんな時だった、知らない番号から電話がかかってきたのは。


「……はい、もしもし」

《綴!》

「その声、お父さん!?」

《やっと電話できたよ!》


 久しぶりに聞くお父さんの声だった。
 入院中の上にスマホが壊れて連絡できず、ようやくだった。


《ずっと連絡できなくてすまなかった。やっと修理に出したスマホが戻ってきたんだ》

「そうだったんだ。大丈夫なの?」

《何とかね。院内で感染症にかかったりして散々だったけど、やっと良くなったよ》

「大変だったんだね」


 お父さん、とことんついてないな。

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