キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
レジに立っていたら店長さんがやや慌て気味に話しかけてきた。
「千歳さんに電話だよ」
「私にですか?」
「何だか急ぎみたいで」
何だろうと思いながら電話に出た。
「お電話代わりました、千歳です」
《千歳さんっ!? 大家ですけど!》
電話の主は私の住むアパートの大家さんだった。
ただ事じゃないのは電話越しでもわかる。
切羽詰まった声の大家さんから告げられたのは、衝撃の事実だった。
「ええっ!?」
なんと、アパートが火事になってしまったそうだ!
何が何だかわからず、とにかく事情を話して上がらせてもらった。
火事と聞いて店長さんは驚くやら心配してくれるやら、私より慌てていた。
火事って何?
一体どういうこと!?
走って帰宅してみると、アパートの周りには人だかりができていた。
真っ赤な消防車が止まっていて、本当に火事があったんだと現実を目の当たりにする。
「千歳さん!!」
「あっ、大家さん……」
まだ混乱している私は気の抜けた声を出してしまった。
放心状態の私を気づかいながら、大家さんは起きた出来事を話してくれた。
どうやら私の隣に住む大学生のたばこの消し忘れが原因らしい。
幸いにして怪我人はいなかったけど、隣の私の部屋は被害を受けてしまっていた。
ああ、なんてこと……まさか家がなくなるなんて……。