キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
病院に着いて受付を済ませ、事前に知らされていた病室を探す。
ネームプレートを見つけてここだ、と思った。
最初はお父さんと二人だけで話したいと言って、あやくんには病室の前で待っていてもらった。
「お父さーん」
「綴!」
カーテンを開けると、ベッドの上で本を読んでいたお父さんが穏やかに微笑む。
「元気だったかい?」
「元気だよ。お父さんこそ大丈夫?」
「うん、腰も足もだいぶ良くなったよ」
足はまだ痛むのか包帯を巻いている。
「退院できそう?」
「今週中に退院する予定だよ。本当は入院するほどでもなかったけど、一人で何もできないから入院させてもらっただけだから。そこでまさか感染症にかかるとは思ってなかったけどね」
「大変だったね。何もできなくてごめんね」
「いやいや、綴にうつらなくてよかった」
結果的にはよかったと思うことにした。
とにかくお父さんの元気そうな顔が見られて安心する。
「あのね、実はお父さんに話さないといけないことがあって」
私は家が火事になって住めなくなってしまったことを話した。
お父さんはかなり驚いて病室なのに大きな声をあげてしまう。
「火事!? 綴、大丈夫だったの? 怪我は?」
「ちょうどバイト中だったから何もなかった」
「そ、そうか。綴に怪我がなくてよかったけど、そんなことが……今どうしてるの?」
「ある人の家に居候させてもらってる」