キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 そこであやくんを呼んで入ってもらった。
 あやくんはキャップを外し、丁寧にお辞儀する。


「お久しぶりです、佐野綺世です」

「あっ綺世くん!?」


 お父さんはまたまたびっくりする。


「母が再婚して今は玖央になりました」

「そ、そうだったのか。紘子さんが再婚とはおめでたい。いや、それにしても綺世くん、随分変わったね」


 お父さんは上から下までまじまじとあやくんを見つめている。
 特に鮮やかなピンク色の髪が気になるようで、視線が頭にばかりいっていた。


「あやくんね、あの玖央ホールディングスの御曹司なんだよ」

「く、玖央ホールディングス!?」

「しかも自分でファッション通販サイトを立ち上げて、社長さんやってるの。今私が着てる服もあやくんのブランドのものなんだ」

「そ、そうなんだ……すごいね」


 お父さんはあまりの衝撃に驚きが隠せていない様子だ。


「それでね、今あやくんと一緒に住んでるの」

「ええっ!?」

「元々一人暮らししてて、そのお家に転がりこませてもらったんだ」

「え、えっと、その二人は……」

「交際しています」


 はっきりと言い切ったあやくんの言葉に、お父さんが面食らうのがわかった。


「ずっとつづのことが好きでした」

「…………」

「お父さん、黙っててごめんなさい」

< 124 / 138 >

この作品をシェア

pagetop