キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


「私にできるかな……?」

「できるよ」

「綴、やってみたらいいんじゃないかな」


 お父さんも穏やかに微笑みながらそう言った。


「綺世くんとなら安心だ。二人で頑張ってみたらいい」

「お父さん……」

「お父さんは綴のやりたいことならなんでも応援するよ」


 その言葉に思わず目頭が熱くなった。
 思えばお父さんは、昔から私のやりたいことをなんでもやらせてくれた。

 頑張れっていつも背中を押してくれたんだ。


「家事も一緒にやろ。今はつづに甘えっぱなしだけど、俺もちゃんとやる」

「あやくん」

「そうやって二人で助け合いながら、一緒に頑張ろうよ」

「……うん、一緒にやりたい」


 自分に何ができるのかわからないけど、できることはやりたいと思った。

 一人で焦って何かしなきゃって思ってたけど、あやくんは一緒にやろうって言ってくれるんだね。
 年上なのに私のがしっかりしてないなってちょっぴり凹むけど、嬉しい気持ちの方が大きい。

 これからも二人で頑張っていけたらいいな――。





「あ〜緊張したぁ」


 病院から出ると、あやくんは大きく息を吐いていた。


「今までで一番緊張した」

「そんな風に見えなかったけど」

「必死で隠してたからね。てか進路のこと、なんで先に話してくれなかったの?」

< 128 / 138 >

この作品をシェア

pagetop