キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
それを言われてぼんやり思い出した。
確かあやくんのお母さんが私の洋服の取れたボタンを縫い直してくれている時、裁縫箱にあった赤い糸であやくんと遊んでいたんだ。
『こうやってね、赤い糸をこゆびにむすぶんだよ!』
『つづちゃん、これなぁに?』
『ウンメイの赤い糸ってゆうんだって。つづとあやくんはなかよしってことだよ!』
『うんめい?』
『そう、つづとあやくんはウンメイなの!』
……なんてことして遊んでたな。
今思うとあの頃の私、何もわかってなくて恥ずかしい。
「ファッション通販サイトをやってみようと思ったのも、つづがスカート履いてる男性の写真見てかわいいって言ってたから。じゃあ誰でも好きな服を着られたらいいんじゃないかって思いついた」
「そうだったの」
「だからつづが作ったようなものなんだよ」
それは言いすぎだと思うけど、嬉しいな。
子どもの頃のことがきっかけで、私たちの出会いが今に繋がっているなんて。
「やっぱり私たち、運命だったんだね」
「俺はずっとそう思ってる」
そう言うと私の薬指にチュッとキスを落とした。
「俺もつづを離す気なんてないから。一生傍にいるって決めてる」
「あやくん……」
「これからもよろしく」
「こちらこそ!」
私は思いっきりあやくんに抱きついた。
あやくんはちょっと驚きながらもしっかり抱きとめてくれて、優しい温もりに心が満たされる。
こんな時間がずっと続けばいいと思った。