キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


「はい、チーズ!」

「あんがと、いんちょ。おっ盛れてる〜」

「ありがとう、結川くん」

「うん、それじゃあまたね」


 結川くんは手を振りながら行ってしまった。

 結川くんは実家の工場で働くため、工学部の大学に行くそうだ。
 結川くんなら作業着も似合うんだろうな。


「今日ママが来ててさ〜、これから一緒に食事すんの。つづりんは?」

「私もお父さん来てるけど、最後に学園を見て回ってから帰ろうかな」

「じゃあまたね〜。連絡する〜」

「またね、紗良ちゃん!」


 初等部から通い続けた糸奈学園とお別れだから、さみしいなって気持ちもある。

 だけどそれ以上に卒業できてよかった。
 こうして今日を迎えられたのもお父さんが通わせてくれたから、あやくんが寄付金を払ってくれたからだ。

 私は屋上庭園に訪れた。
 本当はA組しか入れないけど、誰もいないしいいよね?

 そろりと静かな屋上庭園に入り、ぐるりと庭園を一周する。
 春の花が咲き始め、春の訪れを感じさせてくれた。

 一番奥のデッキチェア、あそこであやくんと初めての……。


「つーづ」

「わっ」


 デッキチェアから鮮やかなピンクが覗いた。

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