キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
「ごめんなさい、お父さんの容体を聞くのに必死になってしまって肝心なこと伝えられなくて……」
「いえ、大丈夫です」
こんな状況で家がなくなったなんて言えるわけがない。
どうしよう、今からお父さんの元に行くわけにもいかないし……。
もはや寄付金どころではなくなってしまった。
家のものすべてが燃えカスになったわけじゃないけど、とても住める状況ではない。
やばい、どうしよう。
このままだと私……、
「野宿……?」
紗良ちゃんに連絡したら泊めてくれるかもしれない。
お母さんのユラさんは映画の撮影中でずっと家にいないらしいし。
でもでも、一晩ならまだしもずっとなんて絶対無理だ。
どうすれば……!!
途方に暮れて夜の公園のブランコに座った。
着替えとか学校のものとか最低限のものを旅行用バッグに詰め込んできた。
アパートのことは大家さんにお任せした。
行く宛はあるのかと心配され、友達を頼ってみますと答えた。
バイト先にも連絡しなきゃいけないし、学園は……流石にやめるしかないよね。
「ああ、どうしよう……」
前向きなことが取り柄の私も、流石に心が折れるな。
色んなことが一気に起こって、全然頭がついていかないや。
「はあ……」
「ため息なんてついてどったのー?」