キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
誰に話しかけてるんだろうと思ったら、どうやら私?
私の顔を覗き込んでいたのは、口元にピアスをあけた大学生くらいの男性だった。
その隣には金髪の男性もいる。
「一人なん? 大丈夫?」
「つーかその制服、糸奈学園のじゃね?」
「マジで? あの超金持ち学校だろ?」
「糸奈のお嬢様がなんでこんなとこいるの? 家出?」
「あー、堅苦しい家から抜け出したかった的な?」
二人は勝手にベラベラとしゃべっている。
お嬢様どころか家もお金もないんだけど。
「わかる〜、思春期あるあるだよな〜」
「俺らが息抜きの仕方教えてあげるよ」
そう言ってぐいっと腕をつかまれる。
突然触られてビクッとした。
「めっちゃ楽しいことしようよ」
「あ、いや……」
「大丈夫、大丈夫。マジで楽しいから!」
やだやだ、こわい!!
なのに声が出せない。
「……っ、」
誰か助けて……助けて!!
ぎゅっと唇を噛みしめて心の中で叫んだ、その時だった。
「――離せよ」
見知らぬ低い声が聞こえた。
私の腕をつかんでいた男性の腕をぎゅっとつかみ上げていた彼の髪は、鮮やかなピンク色だった。
あれ、もしかして……
「嫌がってんの見てわかんない?」
「だっ、誰だお前」
「お前らみたいなクズに名乗る必要ない。通報されたくなかったら離せよ」
「何だと、クソガキ!」