キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
「じゃあつづちゃん、おとなになったら……」
「ふふっ、わかってるよ!」
「! ほんと?」
「大人になってもずっといっしょだよ! あやくんはわたしの弟だもん!」
大人になっても変わらない。
私たちはずっと一緒なんだと、あの頃は信じていた。
「……おとうとは、けっこんできるのかな」
「ん? どうかした?」
「ううん、ずっといっしょにいてね。つづちゃん」
「もちろん!」
時々置いていかれた子犬みたいな目で見つめるあやくんがかわいくて、私が守ってあげなきゃって思う。
私はあやくんのお姉ちゃんだからね――。
だけど、その約束は守れなかった。
会社が傾き、徐々に苦しくなって家政婦を雇う余裕がなくなってしまった。
私が十四歳、あやくんが十二歳の時、泣く泣くあやくんのお母さんを解雇することになってしまった。
別れの日、離れるのが寂しくて泣きそうになってしまった私に向かってあやくんは言った。
「いつかつづちゃんのこと迎えに行くね。ぼく、つづちゃんのこと守れるような男になるから」
私が守ってあげなきゃと思っていたのに、かわいい天使はいつの間にかカッコいい騎士になっていた。
「うん、絶対また会おうね! あやくん」
いつかまた、きっと会えるって信じてる。
その翌年、千歳商事は倒産した。