キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
そう言った紗良ちゃんの唇はぷるんとしていて、発色の良いコーラルレッドが輝いている。
「ほんとだ、プルプルだね!」
「つづりんもしてみる?」
「私はいいや。似合わないと思うし」
紗良ちゃんだからめちゃくちゃかわいいけど、私がしたら変だと思う。
プルプルのたらこ唇みたくなりそう。
「つづりん、絶対メイク映えするのに〜。ナチュラルでいいからやってみない?」
「えー、絶対似合わないよ」
「そんなことないと思うけどな〜」
紗良ちゃんは不満そうにプルプルリップを尖らせていた。
紗良ちゃんは今日もかわいいな。
その後先生がやって来て朝のホームルームが始まり、今日の授業が始まる。
私は今年で三年生。最後の高校生活だ。
何事もなく平穏に楽しく過ごして卒業したい。
そう思っているのだけれど――、
「千歳綴さん、いらっしゃいますか」
お昼休み、私は突然呼び出された。
私を呼んだのは腕にワッペンを付けた眼鏡の女の子。
いかにもインテリ系なその子は、生徒会役員だ。
「ごめん紗良ちゃん、先に食べてて」
「大丈夫そ?」
「うん、大丈夫」
私はニッコリと微笑み、生徒会の人について行った。
呼び出された場所は、人気の少ない階段下。
「単刀直入に言います。千歳さんは昨年の十二月以降、寄付金の振り込みが滞っています」