キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
あやくんのキスは麻薬みたい。
とろけそうなくらいに甘くて、何も考えられなくなっちゃうの。
まるで恋人同士がするみたいなキス――。
私たちは恋人同士なんかじゃないのに。
あやくんは、好きな人じゃなくてもあんなキスできちゃうのかな。
私とする前は、他の女の子としてたの……?
そう思うと、胸の奥がチクンと痛んだ。
* * *
今日の放課後はアルバイト。
例によってあやくんが迎えに来てくれることになってる。
お仕事もあって忙しいはずなのに、優しいなぁ。
「ねぇ綴ちゃん、最近よく迎えに来てくれるの、彼氏?」
山本さんと裏で在庫の整理をしている時、ニマニマしながら聞かれた。
「ち、違いますよっ」
「あんなに毎回迎えに来てくれるのに?」
「お、幼なじみですっ」
「あらそうなの。初々しいわねぇ」
……なんだか山本さん、色々勘ぐってるのかな。
「お家が火事になったって聞いた時は心配したけど、大丈夫そうで安心したわ」
「ありがとうございます。親戚の家でお世話になってます」
ということにしている。
下手に心配かけたくないし、本当のことはちょっと言いづらいし。
「その上素敵な彼氏ができたならよかったわね〜って思ってたのよ。ピンク髪なんてチャラそうな子だと思ってたけど、よく見たらイケメンだし」
「あはは……見た目は派手だけどいい子ですよ」