キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 あやくんのキスは麻薬みたい。

 とろけそうなくらいに甘くて、何も考えられなくなっちゃうの。
 まるで恋人同士がするみたいなキス――。

 私たちは恋人同士なんかじゃないのに。
 あやくんは、好きな人じゃなくてもあんなキスできちゃうのかな。

 私とする前は、他の女の子としてたの……?

 そう思うと、胸の奥がチクンと痛んだ。


* * *


 今日の放課後はアルバイト。
 例によってあやくんが迎えに来てくれることになってる。

 お仕事もあって忙しいはずなのに、優しいなぁ。


「ねぇ綴ちゃん、最近よく迎えに来てくれるの、彼氏?」


 山本さんと裏で在庫の整理をしている時、ニマニマしながら聞かれた。


「ち、違いますよっ」

「あんなに毎回迎えに来てくれるのに?」

「お、幼なじみですっ」

「あらそうなの。初々しいわねぇ」


 ……なんだか山本さん、色々勘ぐってるのかな。


「お家が火事になったって聞いた時は心配したけど、大丈夫そうで安心したわ」

「ありがとうございます。親戚の家でお世話になってます」


 ということにしている。
 下手に心配かけたくないし、本当のことはちょっと言いづらいし。


「その上素敵な彼氏ができたならよかったわね〜って思ってたのよ。ピンク髪なんてチャラそうな子だと思ってたけど、よく見たらイケメンだし」

「あはは……見た目は派手だけどいい子ですよ」

< 48 / 138 >

この作品をシェア

pagetop