キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 お父さんはお母さんの言葉を受け止めていた。
 どんなに責められても「頼りなくてごめんね」と申し訳なさそうにしていた。

 そして、お母さんは出て行った。


「酔っ払ったお母さんが言ってたの。お父さんと結婚したのは金持ちだったからだって。じゃなきゃ結婚しなかったって。でもね、私はそうじゃないって思いたかった。二人はちゃんと愛し合ってた、だから私が生まれたんだって思いたかったの……」

「うん、そうだね」


 あやくんは優しく抱き寄せ、ポンポンと頭を撫でてくれる。
 再び涙腺がゆるみ出し、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。


「私、いらない子だったのかな……」

「そんなことない」

「でも、お母さんはわたしよりも……っ」

「そんなことあるわけないだろっ」


 あやくんは包み込むようにぎゅうっと抱きしめる。


「つづは悪くない。何も悪くないから」

「う……っ」


 私を抱きしめてくれる手が思ったよりも大きくて、温かくて優しくて安心する。
 でもそれだけじゃ足りなくて、私は手を伸ばした。


「あやくん……キスして」


 ぽっかりと空いた心の穴を、埋める方法がわからない。


「おねが……んっ」


 今はただ何も考えたくなかった。
 降り注がれるあやくんのキスに溺れていたい。


「ん……っ、ぁ……っ」

「つづ、俺のことだけ見て」

「……っ」

「俺のことだけ考えてて」


 押し倒されて、再び甘くて深いキスが降り注ぎ全身に熱が駆けめぐる。
 離れてはくっつき、何度も何度も。

 甘いキスに溺れて支配されて、いつの間にか私は意識を手離していた。

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