キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
守りたい side.綺世
寝落ちたつづをベッドに運び、布団をかけた。
つづがあんなに泣いたのを見たのは、おじいさんが亡くなった時以来だった。
基本的につづはあまり泣かない。
さみしくても無理して笑おうとする。
本当はつらいくせに何でもないフリしようとするんだ。
俺はつづのそういうところが嫌いで、好きでたまらなかった。
「……おかあ、さん……」
寝言でも母親を呼び、涙を流すつづ。
こぼれる涙を指ですくいあげる。
「つづ……」
ごめん、つづ。
目が覚めたら謝らなきゃいけないことがある。
俺は仕事をするために一人暮らしを始めたんじゃない、実家から追い出されたんだ。
つづの前でカッコつけようとしてたけど、本当は拗ねてるだけのガキなんだ。
いまだに弟扱いされるのが悔しくてあんなこと言い出したけど、本当は――今でもずっとつづが好きで構ってもらいたいだけのガキなんだよ。
*
つづと出会ったのは、まだ姓が佐野で母親が家政婦として雇われることになった日だった。
母子家庭の俺たちを住み込みで受け入れてくれ、母はとても感謝していた。
「はじめまして、つづりです! よろしくね」
俺より二個上で優しくてかわいいつづに、多分一目惚れだったと思う。
何かにつけてつづちゃんつづちゃん、とつづの後ろにくっついていた。