キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 大人になったら絶対につづと結婚する。
 そう決めていた俺は母さんに尋ねた。


「おかあさん、きょーだいはけっこんできるの?」

「えっ……どういうこと?」

「つづちゃんが、ぼくのことおとうとだって。おとうとでもけっこんできる?」


 それを聞いた母さんは驚いて目を見開き、なるべく小声で言い聞かせた。


「あのね綺世、姉弟は結婚できないの。綺世と綴さまは本当の姉弟じゃないけど、結婚はできないのよ」

「どうして?」

「身分が違うもの……奥さまにもあまりあなたたちを遊ばせないでと言われているし、わかってね綺世」


 幼すぎた俺には母の言っている意味が全くわからなかった。
 つづが好きなだけなのに何故ダメなのか。

 ただ、“弟”ではダメなのだということはわかった。
 だから段々とつづに弟扱いされるのが嫌になっていた。


「あやくん、今夜パジャマパーティーしない!?」

「しないよ」

「なんで!?」

「ぼくもう十一歳だし」

「十一歳はまだはっちゃけていいよ! 私なんて中学生だけどはっちゃけてるよ」

「あのさぁ……」

「夜の十時に私の部屋に来てね!」


 つづの中で俺はどこまでも弟だった。
 二歳差という壁は高く、男扱いなんて到底されるわけがない。

 つづが俺を見てくれるにはどうすれば良いのだろう。
 そんなことを考えていた十二歳の時、母が家政婦を解雇されることになった。

 理由は千歳商事の業績悪化で雇う余裕がなくなったからだ。

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