キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
兄弟ができることは俺にとっても喜ばしい。
何よりやっと母さんが心から幸せになれる。
そう思っていたけれど、双子の弟が産まれた途端に義父は俺への態度を変えた。
連れ子よりも血のつながった自分の息子がかわいいのは当たり前だが、それでもあからさまだった。
次第に俺への興味をなくしていくのが目に見えてわかったが、母さんの前では良い父親としての体裁を保っていた。
だが、その目は「邪魔だ」とはっきり言っていた。
中三になって進路を考えなければならなくなった頃、義父が言った。
「綺世くん、糸奈学園に行ったらどうだい? 私の母校でもあるんだが、あそこなら高い学力を身に付けられる。綺世くんの成績なら何の問題もないだろう」
糸奈学園はもちろん知っていた。
つづが初等部から通っている学園であり、国内有数のエリート校でもある。
昔はつづと同じ学校に通いたいとダダをこねたこともあった。
その糸奈学園に自分が通うことになるとは。
「でも、あの学園は学費が」
「つまらない心配はいらないよ。息子のための学費なんて大したことはない。寄付金もたっぷり払うからのびのび学んできなさい」
「ありがとう」
「それから、一人暮らしを始めてみるというのはどうかな?」
義父はあくまで穏やかに、俺のためだと言わんばかりに言った。
「手のかかる赤ん坊が二人もいて、綺世くんが集中して勉強できないだろう? 学園近くのタワーマンションの最上階を用意するから、そこで自由にすると良い」