キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 つづが見せたのは、ゴスロリファッションをした人形のような美人の写真だった。
 SNSに投稿された写真らしい。


「つづちゃんもこういう服が着たいの?」

「違くて! この人ね、男の人なんだって!」


 つづは興奮気味に言う。


「すっごくかわいいよね!!」

「男なのにスカート? へんじゃないの?」

「全然へんじゃないよ! すっごく素敵だと思う!」


 よくわからなかったけど、やたらとつづがすごいすごいと興奮していたことが印象に残っていた。
 その時は男でもこういう格好する人がいるんだな、くらいにしか思わなかった。

 だが、メンズサイズのスカートを売り出してみるのはどうだろう? というアイデアが生まれた。

 あまり深く考えずに始めてみたら、これが大当たりだった。
 普段から女装している人気インフルエンサーの目に止まり、「こういうものが欲しかった」と紹介してくれたことで一気に広まった。

 お遊び感覚だったが、予想外の反響を得て本格的な事業立ち上げとなった。

「destiny」というブランド名にしたのは、「買い手にとっての運命の出会いになるように」。
 実はつづと話していたあることがきっかけで思いついた。

 まあきっと本人は覚えてないと思うけど。

< 59 / 138 >

この作品をシェア

pagetop