キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
多額の借金を抱えて生活は苦しくなり、寄付金を払う余裕なんてなくあっという間にD組に転落。
母は家を出て行き、父は出稼ぎ中。
私はボロアパートに一人で住み、アルバイトをこなして生活費と寄付金を稼ぐ日々。
「まあでも、何とかなるよね!」
なかなかの波乱万丈な人生だけど、へこたれてなんかない。
私の唯一の取り柄は他の人より少しだけ前向きなこと。
ポジティブさを取ったら私じゃないもん。
大丈夫、何とかなる!
「ねぇ、あそこにいるの千歳さんじゃない?」
ハッと気づくと、遠巻きに私を見ていたのはホワイトジャケットの生徒。
かつてのクラスメイトだ。
「千歳さん、寄付金払えなくて退学になるらしいよ」
「落ちぶれたよね」
「元A組だなんて思われたくないよね」
めちゃくちゃ聞こえてるけど、気にしない。
まあ本当のことだしね。
いちいち気にしてても仕方ないよね。
「今日も終わったらバイトだ! 頑張れ、私!」
コンビニのアルバイトは楽しい。
山本さんみたいな優しい人が多いし、廃棄になるお弁当とかタダでもらえるし。
学園から徒歩五分でありながら、糸奈学園の生徒たちは誰もコンビニなんて行かないので誰にも会わないというのもメリットだったりする。
うん、今日も頑張ろう!
気合いを入れて私は教室に戻ろうとした。
「わっ……! ごめんなさい」
危うく誰かにぶつかりそうになった。