キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜


 周りの声に惑わされず、自分らしさを追求する紗良ちゃんはすごくカッコいいと思うんだ。


「私の方こそ嬉しかったよ。A組から落ちてきて後ろ指さされてばかりいたから。紗良ちゃんが友達になってくれて嬉しかった」

「泣かせんなし〜!」


 紗良ちゃんはぎゅっと私に抱きつく。


「てかさ、いっそ二人で転校しちゃう?」

「えーっ!?」

「ぶっちゃけつづりん、なんでこの学園やめなかったの? 学費もバカ高い上に寄付金も払えとかヤバくない?」

「それは……亡くなったおじいちゃんがこの学園に通ってたからなんだ」


 おじいちゃんはすごく優しくて私をかわいがってくれていた。

 おじいちゃんは先に亡くなったおばあちゃんとこの糸奈学園で出会ったと言っていた。
 おばあちゃんに一目惚れして、猛アプローチの末にお付き合いして結婚したんだそう。

 おじいちゃんはA組でおばあちゃんはD組であり、身分違いだと周りからは結婚を反対された。
 それでも二人は愛を貫いたんだって。


「おじいちゃんね、おばあちゃんが亡くなってからもすごくおばあちゃんのこと大事にしてたの。いつも私におばあちゃんとの思い出話を聞かせてくれたんだ。いつまでもおばあちゃんのこと愛していて、憧れの夫婦なの」


 おじいちゃんは亡くなる直前にこう言っていた。

「綴、どうか泣かないでおくれ。おじいちゃんは嬉しいんだ。やっとおばあちゃんに会えるからね」

 白いベッドの上でおじいちゃんはしわくちゃの顔をもっとしわくちゃにしていた。
 息を引き取った時もおじいちゃんはとても穏やかで、優しい表情をしていた。

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