悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。


「わっ、私、もう帰るね!! 」

 一刻も早く逃げようとする私に、

「また手紙を書くから」

ルーカスは甘く切ない声で告げる。

「それに、花祭りも待っているから」

 ルーカスは再び唇にキスをした。だが、次は軽くて爽やかなキスだ。少し唇が触れただけで、酷く動揺してビクッとしてしまう私がいる。

 それに……さっきのキスだって、不思議と嫌ではなかった。むしろ体が熱を持ち、ルーカスに触れたいだなんて思ってしまう。私の体はおかしくなってしまったのだろうか。


「本当はお前をはやく抱きたいよ」

 恥ずかしげもなく吐き出されるその言葉に、もう黙って頷くしかなかった。

 私は確実にルーカスに毒されているのだろう。



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