悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
平常運転に戻ります




 結局、私が宿舎に戻ったのは、日付けが変わった頃だった。

 ルーカスが公爵家の馬車で自宅まで送ると言い始め、セリオとして宿舎に住んでいる私は色々と理由を告げて断った。お兄様を待っているだとか、お父様が迎えに来るだとか。だが、どの嘘もルーカスに見透かされ、馬車で自宅まで送られそうになった。

 自宅に帰ると、明日からの仕事に支障を来す。そして、自力では公爵邸まで行くことも出来ない。万事休すと思った時に、救世主お兄様が現れたのだ。



 だが、お兄様は明らかに行為後の乱れっぷりだった。あの後も令嬢と致していたのだろうか。私がルーカスとキスをしてしまったとドキドキしっぱなしなのに、何回戦も致したであろうお兄様はけろっとしている。そして笑顔で私に言うのだ。

「セシリア、帰るか」

 私はそんなお兄様を見ることが出来なかった。だが、お兄様に救われたことも事実だった。

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