悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
昨日の甘い時間が嘘だったかのように、ルーカスはいつも通りだった。そして、その声はいつもにも増して怒りに満ちていた。
だが、ルーカスは再度私を見て目を見開く。そして頬を染める。その表情は昨日のルーカスそのもので、どきりとした。まさか、私がセシリアだということが、バレたのか!?
ルーカスは頬を染めたまま俯いて告げる。
「お前、よく見るとセシリアに似てるな」
……え!? これはまずい!
そう思うのに……
「セシリアみたいな顔するの、やめろよ」
ルーカスは訳が分からないことを言い始める。
ルーカスにバレていないことは幸いだが、そんな無茶なことを言われても困る。私はセシリアなのだから。