悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「……そうだな、お前の言う通りだ、クソチビ」
ルーカスはぱっと本を閉じた。その本の表紙には、裸の男女が絡み合う絵が描かれている。
まさか、これが指南書なのか!? そして、仕事時間から堂々と指南書を読んでいたのだろうか!?
唖然とする私に、ルーカスは言う。
「花祭りが開かれないと、セシリアを呼べない。
そのためにも、俺は必死で仕事をしないといけない」
そして彼は笑顔で付け加えた。
「お前のおかげで助かった、クソチビ。ありがとう」
ちょっと待って。そんな笑顔でお礼なんて言わないで。いつものルーカスらしくない。
変なポエムを作っても、指南書を読んでいても、そんな態度を取られるときゅんとしてしまうから。
……本当にやめて!!