悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
犬を飼うのも私のため
それから、ルーカスは真面目に仕事をした。
もとから頭の切れる人だからであろうか、ルーカスが真面目になればどんどん仕事は進んでいった。ルーカスは花祭りの準備をしながら、領地の収支報告などもこなしてしまう。暴言さえなければ、頭は切れるし顔はいいし、極上の男性だったのだろう。
だが、ひとたび休憩モードに入れば始まる、ルーカスの妄想は相変わらずだった。恥ずかしいポエムを作ったりとか、指南書を見たりだとか……傍目から見るとあまりにも愚かで、私は必死にそれを辞めさせるのだった。
ルーカスがそこまでセシリアを好きでいてくれるのは正直嬉しい。私はずっと蔑れて生きてきたから。だが、その隠しもしない感情には驚くばかりだ。そして何より、混乱している。ルーカスがセシリアを好きだというのは嘘でも出まかせでもないことは分かったが……私はどうすればいいのだろう。