悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。

「ま、待ってください、ルーカス様!」

 慌てて彼を追いかける。このまま震えに震えて、犬を落としてしまったら大変だ。

「い、犬は私が持ちます。ルーカス様に荷物を持たせるのはいけません!」

 苦し紛れに告げるが、

「いい。俺はマッシュを抱きたいのだ」

ルーカスは相変わらずしかめっ面で答える。

「俺は、必ずセシリアに認めてもらえる男になる」

 それなら、あなたの近くにいる私を大切にしてよ!と叫びたくもなった。


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