悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
少しずつほだされているようだ
私はセリオとして、いつからこうもルーカスに大口を叩くようになっていたのだろうか。そして、ルーカスも私のことをクソチビとは言うものの、いつから言うことを聞くようになっていたのだろうか。
今日もマッシュは大暴れだ。そのおしとやかな外見とは裏腹に、やんちゃすぎる性格なのだろう。
マッシュは楽しいことがしたくて仕方がないのだが、ルーカスはすでにへとへとだ。今朝なんて、小型犬のマッシュと散歩に行き、マッシュに引きずられて帰ってきた。どっちが主人なのだろうか。
餌だって、ルーカスがもたもた準備をしていると、マッシュがワンワン吠えて急かしている。ルーカスはもはやマッシュの下僕と化しているのだ。
「ルーカス様。マッシュは、ルーカス様の手に負えないかもしれません。
もう少し穏やかな犬に変えてはいかがですか? 」
と、他の使用人に突っ込まれ、ルーカスは顔を真っ赤にして怒っていた。
「このクソ犬一匹手懐けられなくて、セシリアに顔向けなんて出来ない!」