悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「ルーカス様も、セリオのことを気に入っていらっしゃるようで」
「いや、気に入るも何も……
私はクソチビだし、相変わらずこき使われているだけで……」
でも、最近は少し優しくしてくれる。私のことを褒めてもくれる。嫌な男なら徹底的に嫌な男になって欲しいのに、そういうところがあるから困るのだ。
俯く私に、お兄様は唐突に告げた。
「もう、結婚してしまえばいいだろう? 」
……は!?
私は口をあんぐり開けて、頬を染めてお兄様を見ていた。そういう冗談は、口が裂けても言わないでいて欲しい。