悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。

「いえ、ルーカス様」

 私はルーカスに頭を下げる。

「確かに私はルーカス様とセシリア嬢の結婚に反対でした。だが、ルーカス様のお気持ちを知った今、私に止める権利はありません。

 ルーカス様が幸せになられることを、私は祈っています」


 ばーっと出まかせを言ってしまったが、これでは予定が狂う。私はルーカスが他の令嬢と結婚することを祈っているのに。ルーカスが他の令嬢と幸せになればいいと思っているのに。

 ……だけど、今も心からそう思っているのだろうか。


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