悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。



 ルーカスは、花祭りのメイン会場へと私を連れていった。花祭りは街中の至る所で行われるが、主な出し物は、この広い花畑に作られたメインステージで行われるらしい。満開の花畑を見て、思わずわあっと声が溢れた。

 花畑には、色とりどりの花が綺麗に咲き誇っていた。そして、太陽の光を浴びて輝き、風に吹かれてそよそよと揺れている。まさしく圧巻の景色だった。そしてこの花畑の奥には広いステージが設けられ、人々が飾り付けなんかをしている。

 花で盛られたタワーみたいなものを運んでいる人もいる。そして、そのタワーには魔法の力でも働いているのだろうか。設置されたタワーの一部は宙に浮いていたり、色とりどりの花吹雪を撒き散らしたりなんてしている。

 魔法なんて見たことがない私は、思わず見惚れてしまい、

「お前、マジで女みたいな反応するな」

冷めたルーカスが言う。だから慌てて口元に当てた手を下ろす。


 しまった、私としたことが本心を出してしまった。つい、花畑のスケールが予想以上で綺麗だったから……

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