悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。
「え、ええ。私も嬉しいですわ」
敢えて私は棒読みの台詞を発するが、その声は震えている。
「この祭りはお前のために準備した。
お前の喜ぶ顔を想像して……想像しまくって、夜もムラムラして眠れなかった」
……は!? やっぱりこの人最低だ。
ルーカスはないと、自分に言い聞かせる。そしてルーカスは、本気で私にこの台詞を吐くつもりなのだろうか。
「ここは人が多い。
……公爵邸の庭園には人がいないだろうから、そこでゆっくり話でもするのはどうか? 」
「で、ですがルーカス様。わ、私にこの祭りを見せてくださるのではないですか? 」
震える声で聞くと、ルーカスは口元を歪めて吐いたのだ。
「そんなこと、口実に決まっているだろう。
セシリアが俺を認めてくれたら、祭りなんて抜け出して、朝から晩まで抱き潰す」