悪役令息とは結婚したくないので、男装して恋愛工作に励みます。

 ジョエル様はふっと笑った。そしてそっと告げる。

「そうですね」

 その肯定の言葉が、さらに私の胸を抉る。

 私は、ジョエル様にどんな言葉を望んでいたのだろうか。きっと、否定され、励まされることを望んでいたのだ。

 だが、ジョエル様は、続けて思いがけない言葉を吐いたのだ。


「それならば、貴女は僕と結婚すればいいことです」

 その瞬間、

「えっ!? 」

私は大声を出していた。



 ちょっと待って。頭が追いつかない。

 ジョエル様は何を言っているのだろうか。

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